技能実習生とは?具体的な制度の仕組みや受け入れ方法について解説!
1993年に制度化された技能実習生の制度は、法律の改正や新たな法律が施行されたことにより、現在のかたちとなりました。当初からさまざまな問題がありましたが、現在は管理面を強化し、技能実習生の数を増やしているため、よりよいかたちに進化しています。受け入れ方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
技能実習生とは?
日本の少子化による人材不足を解消するためには、なくてはならない存在です。
1993年に制度化された
当初は1年目を研修期間としていました。研修期間のうち3分の1が座学であったことから、現在よりも教育の要素が強いものでした。しかし、就労が禁止されているにもかかわらず、現場では労働力として労働に従事させていることがあり、たびたび問題として取り上げられていました。また、従業員ではなく研修生という立場を悪用して、法律に違反するような扱いが行われていました。
2009年の入管法改正が転機に
労働力として労働に従事させている現場の状況を変えたのが、2009年の入管法改正です。在留資格である技能実習が新たに設けられたことにより、研修生という立場がなくなりました。これにより、労働に従事できるようになり、日本の従業員と同じ扱いになりました。研修から労働に転換したといえます。
2017年に技能実習法が施行された
技能実習生の人数を増やすためには、よりしっかりとした体制を構築しなければいけないという世の中の流れから、2017年に技能実習法が施行されました。新たに設立された外国人技能実習機構は、外国人の保護と適正な実習の実施を担っています。
また、管理面などの厳格化を図りつつ、実習期間の延長や対象職種を増やすなどの対策を行いました。少子化により人材不足が深刻化している日本で、労働力を提供することを見据えた準備が進められたといえます。
2019年の改正入管法
外国人の保護と適正な実習の実施の部分はそのままに、さらに制度は進化を続けていくでしょう。もはや日本は、外国人労働者に依存しなければ労働力を提供できなくなっています。
外国人の労働と実習のバランスを保ちつつ、将来にわたって日本で労働者として勤務を継続したいと思ってもらえるような施策と、彼らの満足度を向上させるような取り組みを行っていく必要があります。
現在、技能実習生から日本に期間の制限なしで残留できる外国人は、およそ45%にのぼります。外国人にとっても、日本は生活しやすくて安全な国であることは間違いありません。さらに法律の整備を進めて、従事できる業種の拡大を図っていくことが急務といえるでしょう。
技能実習生の受け入れ方法
2つの方式があります。
企業単独型
日本の企業などが海外の現地法人、合弁企業、取引先企業の職員の受け入れを行います。そして、技能実習を実施する方法です。こちらの方式は、全体の1.4%で実施されています。
まず、受入企業と海外支店などで雇用契約を結びます。その後、受入企業は実習計画の作成と申請を行い、外国人技能実習機構に計画の認定を受けます。
次に、在留資格認定証明書の交付申請と交付を地方出入国在留管理局と行い、海外支店などに在留資格認定証明書を送付します。そして、海外支店が在外公館と査証申請と査証発給を行い、技能実習生候補者が入国します。
団体監視型
事業協同組合や商工会などが技能実習生を受け入れます。そして、傘下の企業などで技能実習が行われます。こちらの方式は、全体の98.6%で実施されています。
受入企業である実習実施者は、企業単独型で外国人を受け入れるよりも入国に関する業務が大幅に削減されます。受入企業が実施する業務は、技能実習生候補者と雇用契約を結ぶこと、外国人技能実習機構に実習計画の申請を行うこと、事業協同組合や商工会に技能実習生の受け入れを申し込むことです。
そのほかの在留資格認定証明書の送付や入国の受け入れを行う業務を実施する必要がありません。あくまで事業協同組合や商工会などが送出国の窓口になっているので、受け入れ準備や実習準備に専念できるでしょう。
ただし、技能実習前、中、後の結節時には、事業協同組合や商工会から指示や指導が入ることがあります。そのため、企業単独型と比較すると、自由度は低いといえるでしょう。
技能実習生を受け入れるまでの大まかな流れ
こちらでは、団体監視型のフローを紹介します。
受け入れまでのフロー
技能実習を開始するまでに、さまざまな業務を行う必要があります。まず、外国人技能実習機構に実習計画を申請し、認定を受けます。次に、事業協同組合や商工会などは、受け入れる技能実習候補者の入国準備のため、在留資格認定証明書の交付申請を行います。
そして、申請の許可を得た後、技能実習生候補者が入国します。現地では、入国までの間に日本語教育などを受けます。とはいえ、慣れない日本の環境で生活するため、とくに最初の頃は生活面のフォローも実施する必要があります。
まとめ
国際貢献の意味合いが強い技能実習生は5年で帰国する人もいます。しかし、およそ45%の技能実習生は帰国せずに、特定技能の在留資格を取得して労働者として日本の企業などで勤務しています。農業、漁業、介護などの分野で活躍する彼らが、日本で働いてよかったと思えるように満足度を向上させていく必要があるでしょう。それが今後も数を増やしていくために必要な施策となります。