グローバルな人材との共生で企業はどう成長するのか
日本は職種によって人手不足が深刻化しています。そのため、外国人の就労を考える企業も少なくありません。しかし外国人が日本で働くためには、就労ビザが必要です。どの職業も交付されるわけではないため、就労ビザの仕組みを理解することが大切です。ここでは、就労ビザの基本情報から取得しやすい職種、不向きな職種を解説します。
そもそも就労ビザとは
日本で働くためには在留資格が必要です。在留資格の総称が就労ビザといいます。働く職業や仕事内容などによって、種類を細かく振り分けており、就労ビザを取得するための条件も異なります。
どの仕事も就労ビザの対象になるわけではなく、2020年時点で認められている就労ビザの種類は以下のとおりです。
公用・教授・教育・報道・宗教・法律系・医療・技術、人文知識、国際業務・高度専門職・外交・経営や管理・研究・技能・特定技能・技能実習・特定活動・介護など。
報道だとジャーナリスト、医療は医師や看護師、公用は公務員などの職業が当てはまります。
就労ビザの申請方法
就労ビザの申請方法は2種類あります。在留資格認定証明書交付申請と在留資格を変更する場合の申請です。在留資格認定証明書交付申請は海外から日本で働く場合に取得します。
一方で在留資格の変更は、留学生が留学という在留資格から就労ビザの種類に当てはまる職業に就職した場合に変更するなどです。
次にそれぞれの申請方法を見ていきましょう。
在留資格認定証明書交付申請の場合
新規で就労ビザを取得する場合、まずは在留資格認定証明書交付申請を交付しましょう。申請先は出入国在留管理局で行われます。
新規で申請するとき、ビザを受ける外国人はまだ海外にいるので、就職先の企業が代理人となって手続きを進めます。交付が認められたら、就職先の企業に在留資格認定証明書が送付されます。
そこから、海外に住んでいる申請者に在留資格認定証明書を送付して、申請者自身で在外日本公館に提示しビザを申請します。無地にビザが発給されれば、3か月以内に来日することになります。
在留資格の変更の場合
出入国在留管理局に在留資格の変更許可を申請しましょう。申請を行う際は、パスポートや在留カードも必要になるので忘れないように気をつけてください。提出した書類を審査し、問題なければ新しい在留カードの発行手続きに入ります。
新しい在留カードの手続きは本人が行う必要があります。
就労ビザが取得できない職種があるってホント?
単純労働者の場合、就労ビザが取得できないことがあります。単純労働とは、専門的な知識または技能を必要とせず、短期間でその労働スキルを身につけられることです。
工業作業や搬送業などは単純労働に当てはまります。そのほか、就労ビザの取得が難しい職種はこちらです。
・スーパーやコンビニのレジ・品出し・ホールスタッフ・介護業務・清掃業務・接客業など
これらの職業は就労ビザが認められていません。とはいえ、コンビニや飲食店などで働く外国人を目にしたことがありますよね。そうしたところで働く外国人は、永住権を手にした方や留学生など、就労制限が定められていない方が働いています。
ただ、スーパーなどのレジやホールスタッフ、介護業務などに関しては特定技能ビザの取得が可能です。特定技能ビザは就労ビザのひとつで、人手不足を解消する目的として2019年に誕生しました。
就労ビザとの大きな違いは、在留期間にあります。就労ビザは実質無制限ですが、特定技能ビザは最長5年です。
反対に就労ビザが取りやすい職種・業界とは
取得できる就労ビザの種類は上記で解説したとおりですが、なかでも「技術・人文知識・国際業務」は一般的な就労ビザに当てはまります。学歴または職歴と仕事内容につながりがあることが要件です。誰でもできる仕事ではなく、大学や専門学校などで学んだ専門的なスキル、外国人のスキルを活かせる仕事が一般的な就労ビザを取得できます。
反対に、外国人の専門的な知識や技能などを活かせられない仕事内容であった場合は、「技術・人文知識・国際業務」に関する在留資格を手にできません。具体的に「技術・人文知識・国際業務」の職業とはどのようなものなのか見ていきましょう。
技術
技術は工学や理学などの業界が当てはまります。具体的な仕事内容は調査研究・技術開発・情報処理または通信技術などです。
人文知識
人文知識は法律や経済などの知識が求められる業種のことです。法律関連の仕事やコピーライティング、マーケティングまたは広報、会計事務、教育関連などが当てはまります。
国際業務
国際業務は語学や外国の文化、経済などの知識を必要とする業種です。翻訳や通訳、海外の取引などが当てはまります。
まとめ
就労ビザを申請した際、すぐに審査がとおるわけではありません。およそ1~3か月かかるため、余裕をもって準備することが大切です。また、4月は多くの企業が入社日に定めているため、2~3月は申請に訪れる人であふれているかもしれません。審査結果に時間がかかり、就労スタートが遅れてしまってはもったいないので、万が一のことを考えて早めに手続きは行いましょう。企業自身で就労ビザの取得が難しい場合は、在留資格申請をサポートする外国人入管専門の法務事務所などを利用してみてください。